【ツール・ド・103|東かがわ市・さぬき市のロングライドイベント】 数字“103”をデザインする。フックと東讃の物語。
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ローカルイベントが“地域の物語”になるまでのデザイン史

こんにちは。株式会社フックの川根です。
今回は地元東かがわ・さぬき市のサイクルイベント「ツール・ド・103」について。
ツール・ド・103が始まったのは2013年。その時から私はグラフィックデザイナーとしてこのイベントに関わってきました。
そしてイベントは毎年続き、2019年からは株式会社フックとして正式にデザインを担当するようになり、
ポスターやグローブ、Webなどの制作を通して、東讃の魅力をどう伝えるかを考えてきました。
ここでは、私自身が歩んできたデザインの軌跡と、2026年に向けた新しい取り組みについて、
お話ししたいと思います。

数字“103”の発想から生まれたデザイン ─ ツール・ド・103を象徴する原点
ツール・ド・103が生まれたのは2013年。
当時、東讃地域には大きなサイクルイベントがなく、
地元の自転車仲間と「この地域で何か新しい楽しさをつくれないだろうか」
と話し合ったのが始まりです。
その話し合いの中で、
“東讃(とうさん)=十(とう)・三(さん)=103” という語呂合わせ が生まれ、
ちょうど東かがわ市とさぬき市をぐるっと走れば約100km前後になる距離感と一致しました。
「だったら103kmにしよう」
そんな遊び心が、ツール・ド・103という名前の始まりです。
私は当時まだ会社を立ち上げる前で、
個人のグラフィックデザイナーとしてロゴや初期デザインに携わっていました。
東讃(東かがわ市・さぬき市)で育った“温かいローカルイベント”としてのツール・ド・103

初期の運営は、本当に手探りでした。
けれど地域の方々の協力や、地元ならではのエイド、
沿道の声援が少しずつ広がり、
参加者にも「東讃の温度」が伝わっていきました。
人と人、団体と団体が自然につながっていく。
そのつながりが、イベントを支え続けていると感じます。
2019年、ツール・ド・103のデザインをフックが手がけ始めた理由
私は最初期メンバーとして関わっていましたが、
株式会社フックとして正式に関わり始めたのは2019年からです。
そこからポスター・チラシ・Web・参加賞グローブまで、
イベントの世界観を統一しながらデザインする体制が整い、
ツール・ド・103のビジュアルは大きく変わり始めました。
初期は “楽しそう”“わかりやすい” を最優先にしていましたが、
フックとしてはそこに 東讃らしい自然や空気感、物語性 を加えながら、
毎年のテーマを形づくるようにしてきました。
参加賞グローブに込めた“103”の物語──ツール・ド・103を象徴するデザイン

ツール・ド・103を語る上で欠かせないのが、毎年つくり続けてきた 参加賞グローブ です。
このグローブは地元・東かがわ市のサングローブ株式会社 さんが制作しています。
東かがわは“手袋のまち”として日本でも有名で、
私は以前からサングローブさんと関わりがありました。
その縁もあり、HUKとしてイベントに参画してからは、
毎年、サングローブさんと一緒にデザインを仕上げています。
2021–2023|ツール・ド・103を彩った讃岐うどんの“麺線”デザインの進化



実は2023年まで、グローブの根幹デザインはずっと同じテーマでした。
それが “さぬきうどんの麺線” です。
麺を引き伸ばしたときの滑らかでしなやかな線を、その年の色で表現し続けてきました。
● 2021年(麺線 × うどんの緑・青)
青と緑のうねり。麺線のカーブをそのまま走りのリズムに重ねたデザインです。
● 2022年(麺線 × 暗がりから光へ向かう、再スタート)
2022年は、コロナ禍の停滞から徐々に日常が戻り始めた時期でした。
その雰囲気をデザインに落とし込むため、
下部の深い紫・ピンクから、上部の明るい水色・青へと変化するグラデーション
を採用しました。
● 2023年(麺線 × 夕景のグラデーション)
2023年は、紫からオレンジへ移ろう夕景のような麺線。
麺のラインが空の色をまとい、東讃の優しい時間帯を想起させる色合いに仕上げました。
2023年までは、「麺線 × 年ごとの色」
というシリーズとしてデザインしてきました。
2024年、ツール・ド・103デザイン刷新の背景と転換点

イベントのビジュアルが大きく変わったのは、2024年の紅白デザインです。
大会として11回目の節目にあたり、ここで大きな刷新を行いました。
翌2025年には万博カラーを採用し、デザインが“その年らしさ”を語るものへと進化しました。
株式会社フックとして参画してからのこの6年間は、
ツール・ド・103のブランド価値を育てる時間だったと感じています。
2025年|大阪万博カラーを取り入れたツール・ド・103デザイン

2025年は、大阪・関西万博の象徴カラー(青・赤・白)を採用しつつ、
東讃の山・波・風景を幾何学パターンで表現しました。
力強さと地域性を両立した一年でした。

参加賞グローブは、
「記念品」でありながら、
「東讃の技術」と「103のデザイン」が合わさった、
もうひとつの“地域の物語”だと思っています。

2026年テーマ「Reconnect Setouchi」──ツール・ド・103が再び瀬戸内とつながる年

そして2026年。
ツール・ド・103は新たなテーマ、
「Reconnect Setouchi」を掲げます。
海と山。
自然と人。
地域と旅人。
ひとつのペダルが、また誰かの笑顔をつなぐように。
この土地ならではの“つながり”を、やさしいビジュアルで表現しました。
キーカラーも、東讃・瀬戸内の風景から丁寧に抽出しました。
• セトウチブルー:瀬戸内の海と空の透明感
• オリーブグリーン:自然・田園の穏やかさ
• サンセットコーラル:夕暮れの温かさや人のつながり
2026年は、手描きのニュアンスを取り入れた、
ゆるやかで親しみのある“東讃らしい”デザインに挑戦しました。
ツール・ド・103が地域とともに歩む未来 ─ 東かがわ市・さぬき市で続くイベントへ
ツール・ド・103は、人と地域のつながりによって育ってきたイベントです。
2026年も、参加者のみなさんに安心して楽しんでいただけるよう、
実行委員会の仲間とともに準備を進めています。
103kmのロングライドをきっかけに、
東讃の美しさや、人のあたたかさを感じていただけたら嬉しく思います。
そして最後に一つだけ。
2026年大会は、2月1日からエントリー開始です。
今年も東讃でお待ちしています。
